この記事の要点

  • 総務省の情報通信審議会・電波利用環境委員会が、基地局等から発射される電波の評価方法の高度化と、局所吸収指針の主な対象の見直しに関する報告(案)をまとめ、意見を募集しています。
  • 意見募集の受付期間は2026年7月23日から8月26日までで、締切は必着です。案件ページ上の受付締切日時は8月26日23時59分とされています。
  • 今回は確定した制度改正ではなく、意見募集の対象となる報告(案)です。今後の予定として、意見募集の結果を踏まえて報告を取りまとめるとされています。

どのような意見募集か

今回の案件は、情報通信審議会情報通信技術分科会の電波利用環境委員会が取りまとめた報告(案)に対する意見募集です。対象は次の2つです。

1つ目は、諮問第2045号「基地局等から発射される電波の強度等の測定方法及び算出方法」のうち、「基地局等から発射される電波の評価方法の高度化に係る技術的条件」です。2つ目は、諮問第2035号「電波防護指針の在り方」のうち、「局所吸収指針の主な対象の見直し」です。

案件の詳細や提出画面は、案件ページで確認できます。募集の正式な案内は、e-Govの案件ページと、意見公募要領を確認してください。

背景にある課題

報告(案)は、近年、5Gの普及が進み、基地局の設置環境や装置の種類が幅広くなっていることを背景にしています。資料では、5Gの特徴としてビームフォーミングや時分割複信方式(TDD)が挙げられています。また、携帯電話事業者が、従来のマクロセル基地局等から小型の基地局等まで、設置環境に応じて使い分けていると説明されています。

一方、現行の基地局の評価方法は、電界強度、磁界強度または電力束密度による評価方法のみが規定されているとされています。報告(案)では、波源近傍、特に10cm未満を含む基地局装置について、局所SARおよび全身平均SARの評価方法が規定されておらず、局所吸収指針の適用を受けられないことを課題として示しています。また、基地局から常時最大の電力で電波が発射され得る前提で評価する必要があることも課題とされています。

今回示された主な変更案

1. SARを用いた基地局の適合性評価

報告(案)概要では、小型基地局の近傍における局所SAR・全身平均SARによる適合性評価の導入が検討されています。基地局近傍10cm未満については、局所SARの測定方法や許容値等を、基地局近傍以外については、全身平均SARおよび局所SARの測定方法や許容値等を検討するとされています。

資料では、現状では基地局近傍以外の領域でも、全身平均SARや局所SARの基準が定められていないと説明されています。今回の案は、こうした評価方法を可能にするため、電波防護指針を適切に改定することを目的としています。ただし、具体的な制度化の時期や最終的な基準の内容は、提示された資料だけでは確定していません。

2. 実際の発射時間を考慮した評価

TDDの基地局では、一定の割合の時間だけ電波が発射され、常時発射されているわけではないと資料に記載されています。また、ビームフォーミングでは、特定の方向に電波が発射されていない時間もあるとされています。

そこで、基地局から電波を受ける時間の割合を考慮し、実際の発射に近い実効値で評価する方法の在り方が検討されています。その導入にあたっては、特定の環境下で人体への影響が大きくなることがないような手段を講じることも考慮するとされています。これは報告(案)における検討内容であり、確定した評価方法ではありません。

3. 通信トラヒック変動下の最大ばく露量評価

基地局の送信電力は通信トラヒックに応じて変動します。現行の測定方法では、最大電波ばく露量を評価するために、測定時に人為的にトラヒック信号を生成・付加して発射させる必要があり、作業負担が大きいと資料は説明しています。

報告(案)概要では、トラヒック信号を生成・付加せず、制御信号等を基に最大電波ばく露量を推計、外挿する評価方法が検討されています。これも「検討内容(案)」として示されており、確定した運用方法とはいえません。

4. 局所吸収指針の対象に基地局等を追加

電波防護指針は、管理指針、基礎指針、基本制限から構成され、管理指針には電磁界強度指針、補助指針、局所吸収指針があると資料に説明されています。評価では、まず電磁界強度指針を適用し、それで判断できない場合に補助指針、さらに人体と電磁放射源が近接して補助指針を適用できない場合に局所吸収指針を用いる手順です。

局所吸収指針は、主に身体に極めて近接して使用される無線機器等を対象とし、身体の一部が集中的に電磁界にさらされる場合の詳細評価に用いる指針とされています。今回の報告(案)は、その主な対象に基地局等を追加する方向を示しています。追加後の具体的な適用範囲や最終文言は、公式資料で要確認です。

現行の説明と今回の案

項目 資料で示されている現状 報告(案)で示された検討内容
基地局の評価指標 電界強度、磁界強度、電力束密度による評価方法のみ 局所SAR・全身平均SARによる評価を導入する方向
基地局近傍10cm未満 局所SAR等の評価方法が規定されていない 局所SARの測定方法や許容値等を検討
発射時間 常時最大電力を前提に評価 TDD等の発射時間の割合を考慮した実効値評価を検討
トラヒック変動 最大評価のため信号を人為的に付加する必要 制御信号等を基にした推計・外挿を検討
局所吸収指針 主な対象は携帯電話端末等の小型無線機 対象に基地局等を追加する方向

影響を受ける可能性がある人

意見募集の対象から、基地局を設置・運用する携帯電話事業者、基地局装置や関連測定機器を扱う事業者、電波防護や適合性評価に関わる専門家は、評価方法の変更案を確認する必要があります。また、基地局の設置場所や周辺環境に関心がある人、電波防護指針の運用に意見がある人も、報告(案)の対象箇所を確認したうえで意見を提出できます。

ただし、資料に記載されていない個別の基地局への適用時期、既存設備への扱い、設備設置者の具体的な対応義務については、公式資料で要確認です。今回の意見募集だけで、直ちに新しい義務や安全基準が確定するわけではありません。

意見提出前に確認したい点

意見は日本語で提出します。e-Govを利用する場合は、e-Govの意見提出フォームから提出します。e-Govでは添付ファイルを利用できないため、添付ファイルを送る場合は電子メールまたは郵送による提出が案内されています。

電子メールの場合は、意見書に氏名・住所・連絡先を記載し、総務省総合通信基盤局電波部電波環境課宛てに送ります。メールアドレスは d-bougo@soumu.go.jp(資料上はスパムメール防止のため「d-bougo_atmark_soumu.go.jp」と表示)です。郵送先は〒100-8926 東京都千代田区霞が関2-1-2 総務省総合通信基盤局電波部電波環境課です。

意見が1000字を超える場合は要旨を添付し、意見ごとに対象となる案の名称やページ等を記載します。提出期限は2026年8月26日(水)まで(必着)です。提出意見はe-Govや総務省ホームページ等で公表される場合があり、個人の氏名は含めない一方、法人・団体の名称や代表者氏名が公表される場合があります。匿名を希望する法人・団体は、その旨を記載します。

意見を書く際は、2つの報告(案)のどちらに対する意見か、該当する章・項目・ページ、賛成・反対だけでなく修正を求める具体的な理由を整理すると、対象が明確になります。報告(案)にない事項を意見として扱うかは、資料の留意事項を確認してください。

用語を簡単に確認

  • SAR(比吸収率):電磁界にさらされたことで生体組織が吸収したエネルギーを、一定時間で平均したものです。
  • 局所SAR:身体の一部に集中的に吸収されるエネルギーを評価する指標です。
  • 全身平均SAR:全身で平均した吸収の程度を評価する指標です。
  • TDD:時分割複信方式。報告(案)概要では、基地局が一定の割合の時間だけ電波を発射する例の説明に使われています。
  • ビームフォーミング:基地局から出る電波の向きを動的に切り替える仕組みとして説明されています。

FAQ

Q1. 今回の募集で制度改正は確定しますか?

A. 確定しません。募集対象は電波利用環境委員会の報告(案)です。報道資料では、意見募集の結果を踏まえて報告を取りまとめる予定とされています。

Q2. 誰でも意見を提出できますか?

A. 提出方法や記載事項を守れば、報告(案)について意見を提出できます。提出意見は日本語で記入します。具体的な提出資格の制限は、提示された資料では確認できないため、公式資料で要確認です。

Q3. メールに添付ファイルを付けられますか?

A. e-Govの意見提出フォームでは添付ファイルを利用できません。メールでやむを得ず添付する場合は、テキスト、Microsoft Word、一太郎のファイル形式が案内されています。別形式は事前に担当へ確認します。

Q4. 意見への個別回答はありますか?

A. 意見公募要領には、提出意見に対する個別の回答はしないと記載されています。

手続きの流れ

flowchart LR
  A[報告案の公示] --> B[意見募集<br/>2026年7月23日開始]
  B --> C[意見提出<br/>2026年8月26日まで必着]
  C --> D[意見募集結果を踏まえた<br/>報告の取りまとめ予定]
  D --> E[最終的な制度・運用は<br/>公式発表で確認]

公式資料と関連ページ

詳しい対象文書は、基地局等の評価方法に関する報告(案)電波防護指針の在り方に関する報告(案)報道資料で確認できます。概要を読みたい場合は、基地局等評価方法の報告(案)概要電波防護指針の在り方の報告(案)概要が案内されています。

パブコメ.comの案件一覧では他の意見募集を、新着通知では新しい案件の案内を確認できます。

事実確認

  • 政府締切:2026年8月26日(水)まで(必着)。e-Gov案件ページの受付締切日時は2026年8月26日23時59分。
  • パブコメ.com運用締切:公式の運用締切は提供資料で確認できないため、公式資料で要確認。
  • 提出方法:e-Gov意見提出フォーム、電子メール、郵送。提出先・記載事項は意見公募要領を確認。
  • 所管:総務省総合通信基盤局電波部電波環境課。電話03-5253-5905。
  • 根拠法令:e-Gov案件ページでは「任意の意見募集」と記載。行政手続法に基づく手続かどうかは、資料上「任意の意見募集」とされているため、個別の法令条文は公式資料で要確認。
  • 公式URL・取得日時:公式資料URLは本文中に掲載。取得日時は提供された資料に記載がないため、公式資料で要確認。

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