調整力の公募調達改定案で何が変わる?発電事業者・電力関係者が確認したい意見募集のポイント

30秒でわかる要点

  • 経済産業省が「一般送配電事業者が行う調整力の公募調達に係る考え方(改定案)」への意見を募集しています。
  • 改定案では、供給信頼度を維持するため特定地域に立地することが必要な特殊な電源等について、まず公募調達を行い、それでも必要量を確保できない場合には、複数年契約を前提とした相対取引による調達を行えるとする考え方が示されています。
  • 意見募集期間は2026年7月7日から2026年8月5日までです。政府資料では「8月5日必着」とされています。
  • 提出方法は、e-Govの意見提出フォーム、郵送、電子メールです。電話による提出は受け付けられていません。
  • これは改定案に関する意見募集であり、最終的な内容は確定していません。

案件の詳細はこの案件のページで確認できます。ほかの案件は案件一覧、新しい募集を受け取る設定は新着通知をご覧ください。

背景:調整力をめぐる公募調達の考え方

意見公募要領によると、経済産業省は、一般送配電事業者が行う調整力の公募調達について、実施方法などの基本的な考え方を定め、公表しています。

調整力とは、周波数制御、需給バランス調整などの系統安定化業務に活用できる電源等を指します。改定案では、発電設備だけでなく、ネガワットや電力貯蔵装置なども「電源等」に含めると説明されています。

2016年度に送配電事業の許可制が導入されて以降、系統全体の周波数維持などの業務は一般送配電事業者が担うことになりました。一般送配電事業者は必要な調整力を発電事業者等から調達し、確保に必要なコストは託送料金で回収される仕組みとされています。

また、2021年度には需給調整市場が開設され、一部の調整力について広域的な調達が可能になりました。2024年度からは、多くの一般送配電事業者が基本的に需給調整市場を通じて調整力を調達することになっています。一方、沖縄は他系統と連系していない独立系統で、電力の広域調達・広域運用ができないため、2024年度以降も需給調整市場を通じた調整力の調達は行わないとされています。

詳細は、経済産業省が公表した意見公募要領調整力の公募調達に係る考え方(改定案)で確認できます。

今回の変更:必要量を確保できない場合の調達方法を明記

今回の改定案で中心となるのは、特定地域に立地していることが必要な特殊な電源等の扱いです。例として、電圧を維持するために必要な電源や、ブラックスタート機能を有する電源などが挙げられています。これらは通常の周波数制御・需給バランス調整とは異なる機能を持つ電源等です。

改定案は、こうした特殊な電源等についても、適切な要件を設定したうえで、公募調達の方法により確保することが望ましいとしています。そのうえで、公募調達を実施しても必要量を確保できなかった場合には、発電事業者等からのプロポーザルなどに基づき、複数年契約を前提とした相対取引による調達を行うことができるとしています。

相対取引による調達を行う際には、一般送配電事業者が、電源等を確保する必要性、調達手段の有効性、契約内容の妥当性などについて十分に検討することが望ましいとされています。

新旧対照表では、従来の記載に加え、必要量まで確保できなかった場合の対応を「4.(10)必要量まで確保できなかった場合」に詳しく記載する構成としたことが示されています。また、必要に応じて電力広域的運営推進機関に検証協力を求める旨の脚注も追加されています。

ただし、資料は現時点で改定案です。相対取引が必ず実施されること、具体的な契約条件、対象となる電源等の範囲や必要量が確定したことを示すものではありません。

改定案の比較

項目 現行の考え方 改定案で示された考え方
特殊な電源等の調達 供給信頼度確保のため、公募調達を行うことが望ましいと整理 まず公募調達を行う考え方を維持
公募で必要量を確保できない場合 新旧対照表上、今回追加される対応を明記 プロポーザル等に基づく複数年契約を前提とした相対取引による調達を行えると整理
相対取引時の確認 今回の改定案で具体的に追加 必要性、手段の有効性、契約内容の妥当性を十分に検討することが望ましい
監視・検証 経済産業省による事後確認の考え方を記載 必要に応じて電力広域的運営推進機関に検証協力を求める脚注を追加

比較の詳細は、公式の新旧対照表をご覧ください。

影響を受ける可能性がある人・事業者

直接確認しておきたいのは、一般送配電事業者、発電事業者、電力小売事業者、電源等を保有・運用する事業者、調整力の調達や制度設計に関心がある事業者です。

発電事業者等にとっては、特殊な機能や立地が必要な電源等について、将来の公募要件や契約期間の考え方が関係する可能性があります。ただし、今回の資料だけでは、個別の事業者が応札できるか、どの地域・設備が対象になるか、契約年数や価格がどう設定されるかは確認できません。これらは公式資料で要確認です。

一般送配電事業者にとっては、まず公募調達を実施し、必要量を確保できなかった場合に、相対取引を含む調達手段の必要性や有効性、契約内容の妥当性を検討することが求められる方向です。

需要家にとっては、調整力の確保に必要なコストが託送料金で回収される仕組みとの関係から、調達コストの透明性や適切性が重要な論点になります。改定案は、全ての電源等の参加機会の公平性、調達コストの透明性・適切性、安定供給の確保を基本的な観点として示しています。

意見提出時の確認点

意見を提出する場合は、改定案または新旧対照表のどの箇所への意見かを明記し、意見内容と理由を分けて記載すると、資料の様式に沿いやすくなります。可能であれば、根拠となる出典を添付または併記することも案内されています。

提出先と方法は、次の3通りです。

  1. e-Govの意見提出フォーム
  2. 郵送
  3. 電子メール(意見提出用紙を添付)

電子メールの場合、意見公募要領に記載された提出先を使用し、件名は「一般送配電事業者が行う調整力の公募調達に係る考え方(改定案)に対する意見」とするよう案内されています。2026年7月22日には、設定していた提出先メールアドレスが使用できないため、提出先を追加した旨が案件ページに追記されています。送信前に、e-Govの案件ページで最新の提出先を確認してください。

意見募集要領では、提出意見について個別回答は行わないとされています。また、氏名、住所、電話番号、メールアドレスを除き、意見が公開される可能性があります。個人を識別できる情報や、個人・法人等の財産権を害するおそれがある記述は、公表時に伏せられる場合があるとされています。

用語解説

一般送配電事業者

供給区域の送電網・配電網を運用し、周波数維持や需給バランス調整などの業務を担う事業者です。本件では、調整力を発電事業者等から調達する主体として登場します。

調整力

周波数制御、需給バランス調整その他の系統安定化業務に活用できる電源等です。改定案では、発電設備に加えて、ネガワットや電力貯蔵装置等も含むとされています。

電源Ⅰ・電源Ⅱ

電源Ⅰは、一般送配電事業者がアンシラリーサービス専用として常時確保する電源等です。電源Ⅱは、原則として小売電気事業者が供給力として確保する一方、余力がある場合に一般送配電事業者が調整力として活用する電源等です。

相対取引

本件の改定案では、公募調達で必要量を確保できなかった場合に、発電事業者等からのプロポーザルなどに基づき、複数年契約を前提として行う調達方法として示されています。具体的な運用は改定案の内容や今後の手続を確認する必要があります。

Mermaidで見る調達の流れ

flowchart TD
    A[特殊な電源等が必要] --> B[要件を設定]
    B --> C[公募調達を実施]
    C --> D{必要量を確保できたか}
    D -->|はい| E[公募調達で確保]
    D -->|いいえ| F[必要性・手段の有効性・契約内容を検討]
    F --> G[プロポーザル等に基づく相対取引を行うことができる]
    G --> H[必要に応じて検証協力を求める]

FAQ

Q1.今回の改定で、相対取引が必ず行われるのですか?

いいえ。改定案は、公募調達を実施しても必要量を確保できなかった場合に、相対取引による調達を行うことができるという考え方を示しています。相対取引の実施が必ず決まったことや、具体的な契約内容が確定したことを示す資料ではありません。

Q2.どの発電設備や事業者が対象になるのですか?

今回提供された公式資料だけでは、個別の設備や事業者が対象になるかは確認できません。特定地域に立地していることが必要な電源等、電圧維持やブラックスタート機能を有する電源などが例示されていますが、具体的な対象範囲は公募要領などの公式資料で要確認です。

Q3.意見はどこから提出できますか?

e-Govの意見提出フォーム、郵送、電子メールのいずれかで提出できます。電話による意見提出は受け付けられていません。電子メールの提出先は2026年7月22日に追加されているため、送付前に案件ページで最新情報を確認してください。

Q4.締切はいつですか?

政府の意見募集期間は2026年7月7日から2026年8月5日までで、意見公募要領では8月5日必着とされています。パブコメ.com独自の運用締切は、公式資料では確認できないため、公式締切に間に合うよう早めの提出をおすすめします。

公式情報・案件データ

  • 案件名:「一般送配電事業者が行う調整力の公募調達に係る考え方(改定案)」に対する意見募集について
  • 区分:任意の意見募集
  • 公示日:2026年7月7日
  • 政府の受付締切:2026年8月5日23時59分(意見公募要領では8月5日必着)
  • 所管:経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会事務局 ネットワーク事業監視課
  • 根拠法令:今回提供された公式資料では、行政手続法に基づく手続ではなく「任意の意見募集」とされており、個別の根拠法令・条文は確認できません。

本記事は、2026年7月25日時点で提供されたe-Gov掲載資料の抜粋を基に作成しています。最終的な内容、提出先、メールアドレス、受付状況は、提出前に必ず公式案件ページで確認してください。