この記事の要点
- 厚生労働省は、「抗菌性物質製剤に係る安定供給確保を図るための取組方針」の改定案について、2026年6月30日から7月30日まで意見を募集しています。
- 改定案では、医療法上の供給確保医薬品のA群に指定された「セフトリアキソンナトリウム水和物」を、安定供給確保の取組対象に追加する案が示されています。
- セフトリアキソンナトリウム水和物について、2027年から国内の商用製造設備・備蓄設備の構築を開始し、2032年までに国産原料由来の原薬の設備構築を完了、2033年までに供給途絶時にも医療現場へ切れ目なく安定供給できる体制を整備する案です。
- これは意見募集段階の改定案であり、内容は確定していません。通知日は2026年8月上旬予定、適用期日は通知日とされていますが、今後変更される可能性があります。
- 意見は、e-Govの意見提出フォーム、電子メール、郵送で提出できます。電話では受け付けていません。
案件の詳細は案件ページで確認できます。ほかの案件は案件一覧、新着情報の通知登録は新着通知をご利用ください。
背景:抗菌性物質製剤の安定供給
今回の改定案は、「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」第8条第1項に基づく取組方針を見直すものです。同法第7条の規定に基づき特定重要物資に指定された抗菌性物質製剤について、安定供給確保のための方針が定められています。
概要資料によると、抗菌性物質製剤のうちβラクタム系抗菌薬は、日本で使用される注射用抗菌性物質製剤の85%以上を占め、一般的な手術時の感染予防などで診療ガイドライン上の推奨薬として広く使われています。資料は、医療上の必要性が非常に高い一方、国内で製剤化が行われていても、原材料や原薬はほぼ100%中国に依存していると説明しています。
このため、改定案の概要では、供給途絶が発生した場合の影響や、適正使用の観点から他の物資による代替が困難であることを踏まえ、国内製造設備や備蓄設備を整備する方向が示されています。
今回の変更点
1. セフトリアキソンナトリウム水和物を追加
今回の主な変更は、「セフトリアキソンナトリウム水和物」を新たに安定供給確保の対象へ追加することです。概要資料では、同成分が医療法第37条第4項に規定する供給確保医薬品のA群に指定されたこと、サプライチェーン調査の結果、その供給が特定国に依存していることが明らかになったことなどを理由として挙げています。
ただし、今回示されているのは方針の改定案です。対象追加が最終的に確定したか、具体的な支援の採択条件や支援額がどうなるかは、提示された公式資料では確認できません。これらは公式資料で要確認です。
2. 国内製造設備・備蓄設備の整備時期を示す
セフトリアキソンナトリウム水和物について、改定案では2027年から商用国内生産設備および備蓄設備の構築を開始し、2032年までに国産原料由来の原薬の商用国内生産設備および備蓄設備の構築を完了するとしています。
さらに、国内で製造した原薬の販売先である製造販売業者による薬事上の手続などに要する期間を考慮し、2033年までに、供給途絶時にも医療現場へ切れ目なく安定供給できる体制を整備する旨を新たに定める案です。これらは目標・期限として案に記載されたもので、実際の達成を保証するものではありません。
3. サイバーセキュリティ対応を追加
改定案では、近年サイバー攻撃事案が頻発し、対策強化が求められている状況を踏まえ、事業所においてSCS評価制度やJC-STAR制度などのサイバーセキュリティへの対応を求める文言を追加するとしています。対象事業者の具体的な対応内容、制度の適用範囲、確認方法については、提示された概要資料だけでは確認できないため、公式資料で要確認です。
変更前と改定案の比較
| 項目 | 現在の取組方針に関する説明 | 今回の改定案 |
|---|---|---|
| 対象成分 | セファゾリンナトリウム、セフメタゾールナトリウム、アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム、ピペラシリンナトリウム・タゾバクタムナトリウムについて、2023年から設備・備蓄設備などの構築を支援 | セフトリアキソンナトリウム水和物を追加 |
| 国内設備の開始時期 | 既存対象についての説明は資料に記載あり | セフトリアキソンナトリウム水和物は2027年から開始する案 |
| 設備構築の期限 | 既存対象は2030年までに必要量を切れ目なく安定供給できる体制を整備する旨を記載 | セフトリアキソンナトリウム水和物は2032年までに設備構築を完了する案 |
| 安定供給体制 | 既存対象について供給途絶時の体制整備を目指す | セフトリアキソンナトリウム水和物は2033年までに体制を整備する案 |
| サイバーセキュリティ | 今回の概要資料では従来の記載内容は確認できない | SCS評価制度やJC-STAR制度などへの対応を求める文言を追加する案 |
影響を受ける人・事業者
直接確認が必要になると考えられるのは、抗菌性物質製剤や原薬の製造事業者、国内製造設備・備蓄設備の整備に関わる事業者、国内製造原薬の販売先となる製造販売業者などです。改定案は、施策の対象となる成分にセフトリアキソンナトリウム水和物を加え、安定供給確保に向けて取り組むことを定める内容だからです。
また、サプライチェーン全体のサイバーセキュリティ対策について、事業者にSCS評価制度やJC-STAR制度などへの対応を求める案が示されています。医療機関、患者、一般の医薬品利用者に対する具体的な制度上の義務や手続については、今回のsource_excerptだけでは確認できません。該当する場合は、最終的な通知や関連する公式資料で確認してください。
意見提出時の確認点
意見募集期間は2026年6月30日から2026年7月30日までで、意見募集要領には「必着」と記載されています。e-Gov案件ページの受付締切日時は2026年7月30日10時00分です。締切直前の提出は避け、提出画面や送信記録を確認できる方法を選ぶとよいでしょう。
提出方法は次の3つです。
- e-Govの案件詳細画面から意見提出フォームを使用する。
- 電子メールで厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課へ提出する。宛先はgenyaku-soudan@mhlw.go.jpです。ウイルス対策のため添付ファイルは開くことができず、意見はメール本文に直接記入するよう案内されています。
- 郵送する。宛先は〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課です。
意見は理由を付して提出し、様式は自由です。件名には「抗菌性物質製剤に係る安定供給確保を図るための取組方針改定(案)に関する意見」と明記する必要があります。電話では受け付けていません。意見は日本語に限られ、個人は氏名・住所などの連絡先、法人は法人名・所在地の記入が求められます。氏名、住所その他の連絡先を除き、意見が公表される場合があります。
意見を書く際は、対象成分の追加、2027年・2032年・2033年の期限、設備整備、備蓄、サイバーセキュリティ対応など、どの記載への意見かを明確にし、理由や修正案を具体的に示すと確認しやすくなります。支援額、採択基準、対象事業者の詳細など、概要資料にない事項を前提にしないことも重要です。
深掘り:用語解説
- 原薬:医薬品の製造に用いられる有効成分を指す文脈で使われています。今回の資料では、国産原料由来の原薬を国内で生産する設備の構築が示されています。
- 製剤化:概要資料では、無菌化・乾燥・充填など、国内で行われている工程として説明されています。
- 備蓄設備:供給途絶時にも製品を供給できる体制の一部として、原材料や原薬などの備蓄に用いる設備です。具体的な備蓄量は公式資料で要確認です。
- 供給確保医薬品のA群:概要資料では、セフトリアキソンナトリウム水和物が医療法第37条第4項に規定する供給確保医薬品のA群に指定されたと説明されています。指定の詳細な制度内容は、今回の資料だけでは確認できません。
FAQ
Q1. 今回の改定はすでに決まった内容ですか?
いいえ。現在は意見募集段階の改定案です。概要資料では、通知日は2026年8月上旬予定、適用期日は通知日とされていますが、最終的な内容や日程は確定していません。
Q2. 誰でも意見を提出できますか?
提示された意見募集要領では、提出者を限定する記載は確認できません。意見は日本語で、理由を付して提出します。個人は氏名・住所など、法人は法人名・所在地の記入が必要です。詳細な提出資格については、公式資料で要確認です。
Q3. 電話で意見を伝えられますか?
電話での受付はできません。e-Govフォーム、電子メール、郵送のいずれかで提出してください。
Q4. メールに資料を添付して提出できますか?
意見募集要領では、ウイルス対策のため添付ファイルは開くことができず、意見はメール本文に直接記入するよう案内されています。
Q5. 2033年になれば必ず安定供給されますか?
資料は2033年までに体制を整備する旨を改定案に定めるとしているもので、将来の供給状況を保証するものではありません。実際の達成状況や供給量は、今回の資料では確認できません。
改定案の流れ
flowchart TD
A[2026年6月30日 意見募集開始] --> B[セフトリアキソンナトリウム水和物を対象に追加する案]
B --> C[2027年 国内製造設備・備蓄設備の構築開始案]
C --> D[2032年 国産原料由来の原薬設備構築完了案]
D --> E[2033年 供給途絶時にも切れ目なく供給できる体制の整備案]
A --> F[2026年7月30日10時 締切]
F --> G[2026年8月上旬 通知予定]
公式資料
本記事は、上記のe-Gov公式資料に記載された内容をもとに作成しています。資料に記載がない支援額、採択基準、具体的な義務、実際の供給効果などは記載していません。