生物学的製剤基準の改正案、ワクチンの製法・試験基準はどう変わる?意見提出の方法と締切を確認

厚生労働省は、「生物学的製剤基準の一部を改正する件(案)」について、2026年7月2日から意見を募集しています。対象となるのは、平成16年厚生労働省告示第155号で定められている生物学的製剤基準です。

この記事は、e-Govの案件ページ、厚生労働省の意見募集要領改正案概要改正案文に記載された内容だけをもとに整理しています。案の段階であり、最終的な内容や告示日は確定していません。

この記事の要点

  • 改正対象は、生物学的製剤基準のうち、組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン、組換え帯状疱疹ワクチン、不活化ポリオワクチンに関する規定です。
  • 組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)の基準を新設する案が示されています。
  • コロナウイルスワクチンでは、ウイルス・シード・ロットや感染細胞浮遊液の製法、試験項目の名称を改める案です。
  • 不活化ポリオワクチンでは、小分製品の力価試験について、ラット免疫原性試験に加えてD抗原含量試験を認める案が示されています。
  • e-Govの案件情報上の受付締切は2026年8月1日0時0分ですが、意見募集要領には「2026年7月31日(金)必着」とあります。提出前に公式ページで最新の扱いを確認してください。
  • 提出方法は、e-Govの意見提出フォーム、電子メール、郵送です。電話では受け付けていません。

背景:生物学的製剤基準とは

改正案概要によると、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第42条第1項は、厚生労働大臣が、保健衛生上特別の注意を要する医薬品または再生医療等製品について、薬事審議会の意見を聴いて、その製法、性状、品質、貯法などに関する必要な基準を設けることができると定めています。

このうち、ワクチンや血液製剤などに関する製法等の基準を示しているのが、生物学的製剤基準です。今回の意見募集は、この基準告示の一部を改正する案について行われています。

今回の変更案

1.組換えコロナウイルスワクチン

「組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン」について、ウイルス・シード・ロットの製法を改める案です。改正案文では、組換えバキュロウイルス株を作製し、その株を用いてシード・ロットを作製する規定が示されています。また、シード・ロットについて、3.1の試験を行うとされています。

感染細胞浮遊液についても、ウイルス・シードを接種し、ウイルスを増殖させた後にウイルス培養液を得て、その後、感染細胞浮遊液を得る規定に改める案が示されています。

さらに、試験項目の名称を「ワーキング・シードの試験」から「シード・ロットの試験」に改める案です。資料上、これらは基準の規定を変更する案として示されており、変更による実務上の効果や対象品目の範囲については、提供された公式資料だけでは確認できません。

2.組換え帯状疱疹ワクチンの基準を新設

「組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)」の基準を新設する案です。改正案文では、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞(CHO細胞)で産生された水痘帯状疱疹ウイルスgE抗原に、MPL、リン脂質、精製キラヤサポニン(QS-21)、コレステロール、緩衝液を加えた製剤として記載されています。

製法では、セル・バンク、培養液、抗原浮遊液、精製、最終バルクが示されています。試験では、CHO細胞確認試験、CHO細胞培養確認試験、原液の確認試験・純度試験・エンドトキシン試験、小分製品の無菌試験、たん白質含量試験、力価試験、MPL含量試験、QS-21含量試験、表示確認試験などが記載されています。

なお、これらの基準が具体的にどの製品・事業者にどのように適用されるか、また承認手続との関係は、提供された資料の範囲では詳しく説明されていません。必要な場合は、改正案文と今後の公式資料を確認してください。

3.不活化ポリオワクチンの力価試験

不活化ポリオワクチンでは、小分製品の力価試験について、改正案は「ラット免疫原性試験又はD抗原含量試験によって行う」としています。改正前の規定は、ラット免疫原性試験を原則とし、ラット免疫原性試験との相関が確認されたD抗原含量試験が承認されている場合に、D抗原含量試験を行うことができるという内容です。

資料に記載されているのは試験方法に関する規定の変更案であり、試験期間、費用、製品の安全性・有効性への影響などは、公式資料で要確認です。

影響を受ける可能性がある人

今回の案を確認する必要があるのは、少なくとも次のような立場の人です。

  • 生物学的製剤やワクチンの製造・品質管理に関わる事業者
  • 組換えコロナウイルスワクチン、組換え帯状疱疹ワクチン、不活化ポリオワクチンの規格・試験を確認する担当者
  • 医薬品の承認申請、製造方法、品質試験に関する実務担当者
  • 生物学的製剤基準の改正内容について意見を提出したい個人、法人、関係団体

ただし、資料には影響を受ける者の一覧や、改正による具体的な負担・便益の試算は記載されていません。個別の影響は、各事業者の製品、製造方法、試験方法などを踏まえて公式資料で要確認です。

意見提出時の確認点

意見は理由を付して提出します。様式は自由ですが、件名には「生物学的製剤基準の一部を改正する件(案)に関する意見」と明記する必要があります。

提出方法は次の3つです。

  1. e-Govの案件詳細画面から意見提出フォームを利用する。
  2. 電子メールで提出する。宛先は厚生労働省医薬局医薬品審査管理課(seibutuki2016@mhlw.go.jp)です。意見はメール本文に直接記入し、添付ファイルは開くことができないとされています。
  3. 郵送する。宛先は〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省医薬局医薬品審査管理課です。

意見は日本語に限られます。個人は氏名・住所などの連絡先、法人は法人名・所在地の記入が必要です。提出意見は、氏名・住所その他の連絡先を除き、公表されることがあります。個別回答は行われません。

政府の案件情報では受付締切日時が2026年8月1日0時0分と表示されています。一方、意見募集要領は募集期間を2026年7月2日から7月31日まで、「必着」としています。締切の解釈に関わるため、提出を予定する場合はe-Gov案件ページと意見募集要領を必ず確認してください。パブコメ.comの運用上の締切は、公式資料には記載がないため公式資料で要確認です。

案件単位で確認する場合は案件ページ、ほかの案件を探す場合は案件一覧、締切前の通知を受けたい場合は新着通知も利用できます。

deep_dive:用語解説

生物学的製剤基準

ワクチンや血液製剤など、保健衛生上特別の注意を要する医薬品について、製法、性状、品質、貯法などに関する基準を示す告示です。今回の改正案では、平成16年厚生労働省告示第155号が対象です。

シード・ロット

今回の改正案文に登場する、ワクチン製造に用いるウイルス由来の材料に関する用語です。案では、従来の「ワーキング・シードの試験」という名称を「シード・ロットの試験」に変更する規定が示されています。

力価試験

改正案文では、ワクチンの小分製品について行う試験項目として記載されています。今回、不活化ポリオワクチンについて、ラット免疫原性試験またはD抗原含量試験による方法が示されています。

改正案と現行規定の比較

対象 現行規定として改正案文に示された内容 改正案
組換えコロナウイルスワクチン マスター・シードからワーキング・シードを作製し、ワーキング・シードについて試験 シード・ロットを作製し、シード・ロットについて試験。試験名称も変更
組換え帯状疱疹ワクチン 改正案文では「新設」 CHO細胞由来の基準を新設
不活化ポリオワクチン ラット免疫原性試験。一定の場合にD抗原含量試験が可能 ラット免疫原性試験またはD抗原含量試験

Mermaid図解

flowchart TD
  A[生物学的製剤基準の改正案] --> B[組換えコロナウイルスワクチン]
  A --> C[組換え帯状疱疹ワクチン]
  A --> D[不活化ポリオワクチン]
  B --> B1[シード・ロット等の製法を改正]
  B --> B2[試験名称を変更]
  C --> C1[CHO細胞由来の基準を新設]
  D --> D1[力価試験の規定を改正]
  D1 --> D2[ラット免疫原性試験またはD抗原含量試験]

FAQ

Q1.今回の改正は確定していますか?

いいえ。現在は意見募集の対象となっている案です。改正案概要には、薬事審議会医薬品第二部会での議論等を踏まえて所要の改正を行うとされ、告示日は2026年9月中旬予定、適用期日は告示日と記載されています。いずれも「予定」または案の内容であり、最終的な確定事項ではありません。

Q2.一般の人でも意見を提出できますか?

意見募集要領には、個人の場合の氏名・住所などの連絡先について記載があります。提出方法と注意事項を守れば意見提出の対象になり得ますが、提出資格の詳細な限定については、公式資料で要確認です。

Q3.メールにファイルを添付して送れますか?

意見募集要領には、ウイルス対策のため添付ファイルは開くことができず、必ずメール本文に直接意見を記入するよう記載されています。

Q4.締切は8月1日ですか、7月31日ですか?

e-Govの案件情報には2026年8月1日0時0分、意見募集要領には2026年7月31日必着と記載されています。両方の公式情報を確認し、余裕を持って提出してください。どちらを最終的な運用締切とするかは、公式資料で要確認です。

公式資料

意見を提出する前に、改正案文の該当箇所、提出先、件名、連絡先、締切の扱いを確認してください。