この記事の要点

  • 環境省は、国際海事機関海洋環境保護委員会(MEPC)の判定に基づき、環境大臣が指定する物質の一覧を一部改正する案について、意見を募集しています。
  • 改正案では、MEPCで新たに承認された11物質について、物質名、汚染分類、混合物の汚染分類を決める際に使う係数を追加します。
  • 汚染分類はX、Y、Z、OSの4種類で、公式資料では有害性の順を「X>Y>Z」と説明しています。OSは有害でない物質です。
  • e-Gov案件ページの受付締切日時は2026年8月24日0時0分と表示されています。一方、意見募集要領と別紙本文は募集期間を2026年8月23日までとしています。提出前に、案件ページで最新の受付状況と締切を確認してください。

何が意見募集されているのか

今回の対象は、「国際海事機関海洋環境保護委員会の判定に基づき環境大臣が指定する物質の一部を改正する件(案)」です。所管は環境省水・大気環境局海洋環境課で、行政手続法に基づく意見募集として実施されています。案の公示日は2026年7月23日、受付開始日時は同日0時0分です。

改正の根拠として示されているのは、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令(昭和46年政令第201号)別表第一の第一号ロ及びニ、第二号ロ及びニ、第三号ロ及びニです。今回の改正は、この規定に基づく環境省告示(平成18年12月環境省告示第148号)に、MEPCで承認された物質などを追加するものです。

なお、これは意見募集段階の案です。別紙には公布日・施行日を2026年9月頃とする予定が記載されていますが、案の段階であり、最終的な内容や時期は確定していません。

背景:国際的な分類を国内の規制体系に組み入れる

公式の意見募集要領によると、船舶からの有害液体物質の排出規制は、マルポール条約附属書IIを受けて、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律と同法施行令に定められています。

同法施行令では、国際海事機関で承認される国際バルクケミカルコード(IBCコード)に掲載される物質を、有害液体物質または有害でない物質に指定し、有害液体物質については、有害性に応じた事前処理方法や排出海域・排出方法などを定めています。

IBCコードに掲載されていない液体物質を新たにばら積み輸送しようとする場合は、まずMEPCの承認を受け、その判定に基づいて環境大臣が海洋環境の保全の見地から物質を指定し、有害性の程度に応じた係数を定める仕組みです。

2025年12月1日、MEPCによってIBCコードに掲載されていない物質の汚染分類などが新たに承認されました。今回の案は、その判定に応じた国内の指定を告示に追加し、国内の規制体系に組み入れる措置です。

今回追加される11物質と分類・係数

別紙では、次の11物質が追加対象として示されています。物質名の日本語表記には「和訳案」と明記されているものがあり、正式な表記として確定したものではありません。

番号 物質名(英語) 汚染分類 係数
1 N-Alkyl(C12-C16)-N,N,N-trimethylammonium chloride X 1,000
2 Didecyldimethyl ammonium chloride X 1,000
3 Benzyltoluene X 25,000
4 Hexanedioic acid, polymer with 2,2'-(methylimino)bis[ethanol], di-(9Z)-9-octadecenoate (ester), compound with chloromethane in diethylene glycol butylether Y 10
5 Tetrakis(hydroxymethyl) phosphonium sulphate Y 100
6 Brown grease Y 100
7 Aziridine polymer with methyloxirane (78% in diethylene glycol monoethyl ether) Y 25
8 Dialkyl amino phosphonate solution (45 - 55%) Z 0
9 Phosphinic acid Z 0
10 Polyacrylic acid solution (48% or less) Z 0
11 Polyaspartic acid amine Z 0

公式資料の用語説明では、汚染分類は物質の有害性を評価したもので、X類、Y類、Z類、OS(有害でない物質)の4種類です。有害性はX、Y、Zの順に「X>Y>Z」とされています。今回の別添にOS分類の追加対象は記載されていません。

分類や係数が実際の輸送・排出にどのように適用されるかは、今回提供された公式資料の範囲だけでは個別のケースまで確認できません。具体的な物質、濃度、混合物の扱いは、別紙の詳細と関係法令を確認し、必要に応じて環境省水・大気環境局海洋環境課へ問い合わせてください。

影響を受ける可能性がある人

今回の案に関係する可能性があるのは、船舶で液体物質をばら積み輸送する事業者、対象物質を取り扱う荷主・化学品関係者、船舶の運航や排出管理に関わる担当者などです。また、海洋環境の保全や船舶からの有害液体物質の排出規制に関心がある個人・団体も意見を提出できます。

ただし、公式資料には、特定の業種・企業にどの程度の事務負担や費用が生じるか、既存の輸送契約や設備にどのような変更が必要になるかといった影響の試算は記載されていません。これらは公式資料で要確認です。意見を提出する場合は、対象物質の名称、濃度、輸送・排出の実務上の状況など、確認できる範囲の具体的な情報を示すと、案のどの部分に関する意見かを明確にできます。

意見提出の方法と確認点

意見は、e-Govの「意見提出フォーム」または郵送で提出できます。郵送の場合の宛先は、〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2、環境省水・大気環境局海洋環境課です。封筒には件名を赤字で記載するよう案内されています。電話や匿名での提出は受け付けられません。

提出する意見には、件名、氏名、企業・団体の場合は企業・団体名・部署名・担当者名、郵便番号・住所、電話番号、メールアドレスを記載し、該当箇所、意見内容、理由を示します。理由の根拠となる出典などは添付または併記してください。意見は日本語で、郵送の場合はA4判の用紙で提出します。

意見募集要領には、郵送の場合は締切日必着とあります。ただし、意見募集要領とe-Gov案件ページで締切表示に差異があります。e-Gov案件ページでは2026年8月24日0時0分、意見募集要領では2026年8月23日までと記載されているため、早めに提出し、提出直前に公式ページで確認してください。

提出内容は、氏名、住所、電話番号などの個人情報を除き、全て公開される可能性があります。記入漏れや要領に沿わない記載は無効扱いとなる場合があります。また、案と無関係な内容、特定の個人・法人を識別できる情報、権利利益を害するおそれがある情報、誹謗中傷、宣伝・広告、虚偽情報などは受付対象外となる場合があります。

用語を確認

MEPCとは

国際海事機関海洋環境保護委員会の略称です。今回の資料では、IBCコードに掲載されていない物質の汚染分類などを承認する機関として説明されています。

IBCコードとは

国際海事機関で承認される国際バルクケミカルコードです。公式資料では、IBCコードに掲載される物質を、有害液体物質または有害でない物質に指定する仕組みとの関係で説明されています。

汚染分類と係数

汚染分類は物質の有害性を評価する区分で、X、Y、Z、OSがあります。係数は、混合物の汚染分類を決定する際に使用するものとして、今回の案で追加されます。

制度の流れ

flowchart TD
    A[液体物質をばら積み輸送] --> B{IBCコードに掲載済みか}
    B -- はい --> C[法令・告示の指定を確認]
    B -- いいえ --> D[MEPCが承認]
    D --> E[環境大臣が物質を指定]
    E --> F[汚染分類と係数を告示に追加]
    F --> G[国内の規制体系に組み入れる案]
    G --> H[パブリックコメント]
    H --> I[最終的な公布・施行は未確定]

FAQ

Q1. 今回の案は、すでに確定した規制ですか?

いいえ。意見募集の対象となっている案です。別紙には2026年9月頃の公布・施行予定が示されていますが、最終的な内容や時期は未確定です。

Q2. どのような物質が追加されますか?

別紙には11物質が示され、X、Y、Zの汚染分類と、それぞれの係数が掲載されています。日本語名に「和訳案」とあるものは、資料上、案として示された表記です。

Q3. 電話で意見を伝えられますか?

意見募集要領では、電話や匿名での意見提出は受け付けないとされています。e-Govの意見提出フォームまたは郵送を利用してください。

Q4. 締切は8月23日ですか、8月24日ですか?

意見募集要領は2026年8月23日まで、e-Gov案件ページの受付締切日時は2026年8月24日0時0分です。表示に差があるため、提出時点の案件ページを確認し、余裕を持って提出してください。

Q5. 公式資料はどこで確認できますか?

意見募集要領(PDF)と、改正案の別紙(PDF)で確認できます。パブリックコメントの全体から探す場合は案件一覧、新着案件を受け取りたい場合は新着通知も利用できます。

関連ページと公式資料

本記事は、上記の公式資料に記載された内容を整理したものです。最終的な制度内容、公布日、施行日、締切日時の扱いなどは、必ず公式の案件ページと最新資料で確認してください。